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現代日本の士農工商|正社員も非正規社員も搾取される側|黒幕は誰?

正社員(正規社員)か?非正規社員か?

という切り口で、いろんなことが語られることが多い世の中ですが、もっと大きな視野で、現代の日本の身分制度・階級制度について語ってみたいと思います。

 

江戸時代の身分制度(階級制度)|士農工商

小学校で習うと思いますが、たいていの日本人が知っている「士農工商」という江戸時代の制度。「士」は、武士。「農」は農民。「工」は工業の職人。「商」は商人。

 

きっと、どこかで聞いたことがあると思いますが、本当のところは、「士」→「農」→「工」→「商」という順番で身分が良いわけではなくて、「士」→「商・工」→「農」というのが本音の階級順です。

 

どうして、農民を持ち上げるのかというと、過酷な年貢の取り立てに反旗を翻して一揆を起こされると困るからです。中国でも、日本でも、その時代の体制が崩れた原因は、農民の反乱だからです。

 

どうして、農民の反乱が恐ろしいかと言うと、その時代の大方の人達が農民だからです。数の力です。

 

だから、その農民たちが反乱しないように、江戸時代の権力者は農民たちをうまく持ち上げながら、でも、実は農民たちからごっそりと年貢を搾取し、自分達は贅沢しながら平穏な時代を過ごしたわけです。 

 

日本の階級制度

30~40年前には、「1億・総中流社会」という言葉がありました。

しかし、いろんな方がデータをもって指摘されているように、それは真っ赤な嘘です。

日本にも、明治時代から現代まで、目に見えない「階級制度」が存在しています。

貧困は世代を超えて連鎖しますし、父親の職業を3世代追いかけると、ほぼ同じ階級に属することがわかっています。

ただし、女性は、結婚を機に、違う階級に移動する(上にも下にも)ことも指摘されています。

 

現代日本士農工商

ここからは、私の(オリジナルの)見解です。

私は、現代日本身分制度を、江戸時代の「士農工商」にあてはめると、こんな風になるのではないかと考えています。

 

「士」→ 政治家、役人

「農」→ 正規社員、非正規社員

「工」→ 大企業の社長(ほぼ雇われ社長)

「商」→ 中小零細企業の社長(オーナー社長)

 

江戸時代の士農工商がそうであったように、現代の士農工商も、そのピラミッドの底辺にいるのは、正規社員・非正規社員です。

 

そして、江戸時代も、現代日本も共通しているのは、「士」と「商」の癒着によって、世の中がコントロールされていることです。

 

越後屋、おぬしも悪よのう~。」の時代劇のセリフではありませんが、現代日本でも、多くの人達の労働を搾取することで、ほんの一部の人達が潤っているわけです。

 

繰り返しになりますが、現代の「士」とは、政治家や役人。「商」とは、中小零細企業の社長(オーナー社長)です。

 

政治家も、オーナー社長も、世襲制の多い階級です。

そして、オーナー社長が、地元の県会議員や市会議員になったり、ときには国会議員になったりするわけです。

 

ある意味、現代の「士」と「商」は、一体なわけです。そして、自分達の都合の良いように日本を統治しているのです。

 

何が、問題なのか?

正社員も非正規社員も、みんな搾取されているわけです。

しかし、ゴーンさんや孫さんみたいに、大企業で、桁違いの報酬を得ている人に目が奪われがちですが、問題はそこではありません。

なぜなら、日産自動車ソフトバンクの社員は、それなりのお給料と待遇で働いているからです。むしろ、日産自動車ソフトバンクで働いている人達は幸せです。(非正規問題は別途、議論するとします。)

 

問題なのは、大企業ではなく、日本国内で圧倒的に多い「中小零細企業」です。もっと言えば、その中小零細企業の「オーナー社長さん」です。

 

日本の政治家(国会議員から、地方の市町村レベルまで)は、この「中小零細企業のオーナー社長さん」に支えられています。「おぬしも悪よのう~。」の世界だとまでは言いませんが、お互いに持ちつ持たれつの仲です。

 

多くの政治家は、「日本の多くの労働者が中小零細企業で働いている。つまり、日本を支えているのは中小零細企業だ。日本を元気にするためには中小零細企業を元気にしないといけない。だから、中小零細企業への補助金助成金を手厚くする必要がある。」と言います。

 

しかし、これは、まったく非論理的です。

 

むしろ、

「日本の多くの労働者が中小零細企業で働いている。その中小零細企業への補助金助成金を手厚くした結果、競争力のない中小零細企業が生き残り続け、本来成長できるポテンシャルのある企業がそのゾンビ企業との低価格競争で疲弊し成長できないでいる。その結果、日本の生産性は先進国で最も(異常に)低い。」

と考えるほうが妥当だと、私は思います。

 

それで、どうするべきか?

まず、中小零細企業への無駄な補助金助成金・特例をなくすべきです。

そして、大企業による吸収、あるいは、中小零細企業うしの合併に、補助金助成金を出すべきです。

そうすることで、規模の経済が働き、必ず生産性が上がります。従業員の待遇(給与、有給休暇の取得、出産・育児休暇など)も改善します。

中小零細企業の社員には、働く場所が新たに提供されます。

中小零細企業がなくなれば、その従業員の収入が途絶え、生活できなくなる。」というのは、「政治家」と「中小零細企業のオーナー社長」自身の「保身のための言葉」でしかありません。

 

まず。私たちにできることは、各政党・各政治家の「中小零細企業政策」を見極めて、「政治家と、中小零細企業のオーナー社長」の保身のために存在する候補者を、選挙で当選させないことではないでしょうか。

 

「私は、中小企業の味方です!中小企業に活力を!」と訴えかける候補者には、投票しないことをおススメします。

 

それが、日本企業の生産性を向上させ、巡り巡って、正社員として働く人々の待遇を改善し、人手不足を招き、非正規社員から正社員に変わる人達を増やす第一歩になると、私は考えます。

 

中小零細企業がなくなれば、そこで働く多くの日本人が困る」などという脅し文句に屈してはいけません。中小零細企業がなくなって困るのは、「中小零細企業のオーナー社長と、そのオーナー社長に支えられている政治家だけ」なのです。

 

現代の日本に必要なのは、現代版の農民一揆です。